Listen to The Y30 Farther's Voice〜父の声を聴け

 Y30設計担当主管 三坂泰彦氏の当時の話

開発担当者に聞く商品開発室 ・ 車両開発統括部 主管 三坂泰彦氏 

 

(当時の日刊自動車新聞より)

 日産自動車の主力車種の一つである 「グロリア」 「セドリック」 をこのほどマイナーチェンジした。
 今回の改良では、単なマイナーチェンジの域にとどまらない新技術がエンジン系統に盛り込まれた他、外観 ・ 内装関係も随所に改善が図られている。
 そこでグロリアの開発を担当する商品開発室 ・ 車両開発統括部主管の、三坂泰彦次長に開発のねらいなどを聞いた。

 

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     −今回のマイナーチェンジで  “目玉”  ともいえるのは。

三坂  外観全体に立体感を持たせた事と、エンジン系統に新技術を盛り込んだ事です。まずエンジン関係ではV型6気筒2000ccエンジンに加速性能を向上させるジェット ・ ターボ (可動式フラップ付電子制御可変容量ターボチャージャー) を搭載、 総合性能の向上を図りました。 V型3000ccターボと比較してトルク ・ 馬力の低い2000ccターボは、 アクセルを踏み込んで過給圧が高まって加速がつくまでターボラグ (時間差) があり出足がもう一歩でしたが、 ジェット ・ ターボでこれを克服しました。

 また、 ディーゼルも静粛性を増す為、 ガソリン用RB20型をベースに 「副噴口付き燃焼室型直列6気筒」 エンジンを開発、 搭載した。 停車時で4db以上騒音が減った一方で、 エンジン出力は向上しています。

こうしたエンジン系統の改善は、 V型6気筒エンジンなどの優位性を一段と向上させ市場拡大に結び付ける為です。

 

      −外観全体に立体感を持たせたというのは。

三坂  このクラスはボディサイズが限定される為、 いかに外観にメリハリを付けるかが鍵となります。例えばフロントマスクでも、 縦長で豪華さを出すか、 横長で流麗さを出すかなどに集約される訳ですが、 今回のマイナーでは後者を重視しました。 また、 5ナンバー車の主力車種にエアダム一体式のフルバンパーを採用したのも立体感を出す為です。 幅広レンズの採用や後部バンパー上部の切り込みの採用も狙いは同じ。 その他、 ボディーカラーにホワイトだけで三色を用意しましたし、 車種バリエーションも大幅に拡充してユーザーの希望に応え得る様にしました。

  

  最 先 端 の 技 術 投 入
    
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  若 者 の 声 の 反 映 も

 

     −主力購入層はどこを想定しているのか。

三坂  意外な事ですが、 このクラスの購入層の約40%が三十歳以下。 それだけに、 今後台数増を図っていくために必要なのは、 こうした “ヤッピー” クラスのユーザーにいかに売り込めるかという事です。 極論すれば、 法人層や四十〜五十歳代の需要は “固定票” とも言え、 中型車クラスながらカギは三十歳代以下が握るとも言えます。2000ccジェット ・ ターボの搭載は当然、 三十歳代新規開拓の為ですし、 その手段としてグロリアはアストロード、 セドリックにアーバンなどヤッピー志向の強い車種を加えました。

 ある程度の年収がある四十〜五十歳代がターゲットという従来のこのクラスの常識は、 最近の動向を見る限り完全に覆されています。 とは言え、 こうした需要も安定的にある。 その点であらゆる需要層に対応出来るモノがグロリアとセドリックに求められてきている訳ですが、 それに固執するとクルマそのものも無性格になりかねない。 今回のマイナーでは、 グレードごとに際立った特徴を持たせる事でコレを防いでいます。

 グロリア、 セドリックの名のもとにいくつかの車種があるというのは、 内装 ・ 装備関係で十分理解してもらえるのではないでしょうか。